タバコマネーとモータースポーツ


モータースポーツとタバコとは縁が深い。F1をはじめバイク、ラリー等タバコメーカーからのスポンサー費用がないと成り立たないと言っても過言ではないでしょう。今でもタバコ広告が規制されているとはいえ相変わらずと言った状況でしょうか。

 タバコ業界が大々的にモータースポーツ業界に絡んできたのは1968年、F1チーム・ロータスにインペリアル社(英)の「ゴールドリーフ」のパッケージカラーに塗られたのが最初です。
 F1と関係ないローカルレース(アメリカのインディ)では既に持ち入れられていたようで、その手法をチーム独力の経済力では成り立たなくなってきていたF1の世界といいタイミングでマッチしたようです。

 それ以前はナショナルカラーで、チームの国籍別に(英:グリーン、仏:ブルー、独:シルバー、日:アイボリー+赤丸)なんとなく分けられていました。
それ以降なし崩しにタバコマネーが流入するようになり現在にいたります。

 タバコ業界がモータースポーツに進出してきた背景にはその頃より問題となり始めた(今よりもずっと緩いですが)健康問題とそれに関連して宣伝がしにくくなったということがあります。
 現に日本でもタバコのCMが禁止されているように、多くの国(主に先進国と自称している地域)でも禁止されているのですが、ダイレクトなCMではなく車のデザインとして結局は宣伝になってしまっている矛盾をはらんでいます。  かつてイギリスとドイツだったかはロゴをテレビに映してはいけないという規制のため Marlboro ロゴを McLaren にしたり苦労してるなって感じで見ていました。
 もっとも当初はただのバーコードパターンだったのですが、模型栄えしないって事であのタミヤのアドバイスでマクラーレンロゴを入れたらしいのですが。現在売っているこういったレーシングカーのプラモデルやミニカーにも当然タバコロゴはついてません、表向きは。
模型で再現しようとすれば、アフターパーツで出ています。(それなりに高価だけど)

 二輪の世界では早くから Rothmans は有名だし、四輪では Marlboro しかり Camel も。 今じゃ MildSeven もそうだし、ちょっと前のマクラーレンのメインスポンサーの West もタバコメーカーです。
このようなタバコのデザイン=レーシングカーのイメージになってしまっていることも戦略の一環でしょう。消費者がデザインと見るか、宣伝と見るかまでは誰もわかりませんが、FIA(F1の主催団体)は2007年までこのタバコと宣伝の問題を棚上げすることを決定しています。そのせいか、最近ではコンピューター系と通信系企業が多くなりました。

 そんな環境なのに出てきたのは1999年のBAR(ブリティッシュ・アメリカンレーシング)。 (註:←リンク切れてるかもしれません)
初登場時は右半分が555、左半分がラッキーストライクカラーといった奇抜なデザインです。最初はエントリーできる2台を別々のカラーにしたかったらしいんですが、ルール上できなかったらしくああなったみたいです。
どちらもBAT(ブリティッシュアメリカンタバコ)のブランドです。
前身は名門のあの6輪マシンを登場させたティレルです。BATがバックに付くことで名門復活を賭けたわけです。

 現在のF1のルールでは新規チームには莫大な保証金とレースに参戦できなかった際に違約金を払わねばならないため、まっさらの新規で参戦するよりも、既存チームを買収するかたちのやり方が編み出されています。


1. Marlboro / マールボロ
 

 このデザインは誰でも一度は見たかと思います。かつてのマクラーレンのカラー。おそらく世界で最もメジャーなブランドであると思われます。
モータースポーツを全般的にスポンサードしているのですが、有名なのはF1のマクラーレン(96年まで。それ以降はフェラーリ)でしょう。またチームの支援だけでなくドライバー自身のスポンサード、育成の支援も行っていることは特筆出来ます。また、サーキット内のホスピタリティ面など近代の運営手段を確立させたことも無視できません。

 デザイン的にはやはり「赤」のイメージなのですが、86年のスペインGPで「黄」が走った事があります。当然「マールボロ・ライト」をイメージしています。
これがアリなら、いつしか「メンソール」イメージの緑がいつか出てこないかな、と願ってます。

本物の写真ではないのですが、こんな感じです。


2. Rothmans / ロスマンズ 

 少なくとも私はバイクのカラーで知りました。
日本でも一応売って入るもののタバコのブランドとしての認知度は疑問です。紺と白、そして金色のストライプで有名です。

 F1よりもバイクの世界GP(ホンダワークス、NS400Rというレプリカも売ってた。)と、86年パリダカのポルシェ959プロト、グループCカーのポルシェ956/962Cのイメージが強いです。
F1にも94年ウィリアムズに、WRCにも三菱(ランサーエボリューション)のスポンサーとして登場しました。のち、96年に同社の別ブランドのウィンフィールドに受け継がれました。


3. Winfield / ウィンフィールド
 

 日本でも「オーストラリアNo.1タバコ上陸」と語って売り出されてました。1998年、F1のウィリアムズのメインスポンサーです。
それもそのはず。ウィンフィールドってロスマンズ系のタバコのようです。


4. Benson & Hedges / ベンソン&ヘッジス
 

 左はタイ仕様、右は香港仕様。金一色で見にくいけど。

どっちにしろ日本では見たことがありません。佐藤琢磨でおなじみのF1のジョーダンがこの Benson & Hedges のカラーで、すっかり「黄色いチーム」のイメージが出来上がってしまいました。

その後に黄色つながりかわかりませんがついたのが「ドイツ郵便局」。郵便局かよっ。


5. GITANES / ジタン
 

長らくF1のチーム・リジェ(→チーム・プロスト→消滅)のメインスポンサーでした。
 チーム自体もフランス政府がからんでいたり、いろいろと「政治的」とか「国策チーム」とかいわれていましたが、ルノーが去り、プジョーが荒らして無責任に撤退した挙句、あっさりと消滅してしまいました。

(右のGITANES BRONDESはライセンス生産品で、実は国産)


6. GAULOISES / ゴロワーズ
 

 ゴロワーズに関しては二輪のイメージの方が強い。あまり見たことが無いんですが。
リジェの末期にも付いていましたが、そんなに印象が強くありません。
バイクレースの本と、レプリカマシンで見たことがあるくらいです。
ジタンの項でも書いた、チームプロストの最期にスポンサーとして付いていました。

現在でもMOTO GPの冠スポンサーとかやってます。


7. SILK CUT / シルクカット
   

 かつてCカーが存在した頃、一時期最強だったジャガーチームのスポンサー。
それ以外ではあまり名前を聞きません。かつて、日本にも入荷されていましたが、最近では見当たりません。


8. JPS (John Players Special)
 

 中嶋悟氏が初のフル参戦F1ドライバーになったときのロータスチームが、キャメルの前にメインスポンサーカラーだった煙草。
このタバコの名前の意味がいまだによくわからないのですが。古いF1をご存知の方には有名でしょう。95年までロータスをスポンサードしていたブランドです。

 実は68年にF1界で初めてスポンサーカラーを持ち込んだ「インペリアル社」のブランドでした。前出の「黄色いマールボロ同様」に「赤いJPS=インペリアルカラー」というのも存在します。
このインペリアル社は実に30年近く支援していたことになります。現在ではBAT社の傘下か、買収された模様です。

右のボックスはマット仕上げで渋くて良かったんですがあっという間になくなってしまいました。


9. Camel / キャメル
 

 96年JPSから変更で進出しました。と、言うより中嶋悟のF1フル参戦時の車といったほうがわかりやすいかもしれません。F1では徐々に撤退していったためブランドとしては活動は正味5年くらい。
ラリーレイドの「キャメルトロフィー」のほうが有名かもしれません。

もともとの発売元のRJR社がJTに買収されてしまったためこのブランドで出てくることはないと思われます。
(左が以前からのデザイン。右がJT買収後に変わったデザイン)


10. 555 State Express
 

 日本の市場に導入されていないため、これもタバコのブランドだと思っている人は少ないかもしれません。どちらかというとWRCのスバルのイメージが強いでしょう。
現にスバルも市販車のインプレッサSTiのイメージカラーにしているようです。
 なんか紺のイメージが強いのですがタバコ自体はこんな感じ。
(左は96年タイ仕様、右は2001年マレーシア仕様。 マレーシア仕様に現在のBAT社のロゴマークが入っていますので現在もこのデザインだと思われます。)


11. Lucky Strike / ラッキーストライク
  

 99年BARとしてF1界に進出しました。555のブランドと共同でしたが。現在ではラックーストライク単独でのカラーリングに。
でもどちらかといえば、バイクの世界の方が有名かもしれません。
ケニー・ロバーツ親父が現役の頃から、スズキのワークスカラーでしたので。


12. Mild Seven / マイルドセブン
 

 1994年にベネトン(現ルノー)に付いたのが始まり。どうもJTはマイルドセブンを国際的な基幹ブランドとして確立させようとしているようでその一環でしょう。
それまで、主に国内レースではキャビンを使っていたように思われますが。


13. Kool / クール
 

 F1の世界よりも、インディとかストックカーとかアメリカ内のローカルレースでメジャー。


14. BARCLAY / バークレイ

まったく認知度のない銘柄ですが、1984年よりアロウズのスポンサードをしていたとの記録があります。


15. Viceroy / ヴァイスロイ

こちらも認知度がない上にバークレイと混同しやすいです。1974年にパーネリというチームにスポンサードしていたようです。時たまゴルフの世界で見かけます。


参考文献:F1 影の支配者 ホンダ・トヨタは勝てるのか  檜垣和夫 著 講談社+α新書